シュルレアリスム宣言
僕が読んだ数少ない本の中で、
最も影響を受けたのはアンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」だ。
「人は誰でも小説家になれる」という
強烈なキャッチ・コピーに惹かれて読んだ。
書かれていることはそう難しい話じゃなかった。
予め何も考えずにハイスピードで文章を書きつける、
そうすることで、いつしか書きつけられた文章から
「わたし」という主語が消え、
誰でもない「誰か」が「わたし」において何かをする、
という形態に変化する、
それは、つまり、主観から脱却し、
「わたし」自身をまるで「他人」のように
客観的に見つめるということである、
というような内容であった。
「わたし」が「わたし」から脱却することで、
それが「わたし」の手で書かれたものであるにもかかわらず、
「わたし」自身がひとりの読者として、
それを楽しむことができる。
それだけではない。
「わたし」ではない「誰か」が
「わたし」において、それを書いている以上、
「わたし」自身の想像力が枯渇することがない。
なぜなら、「わたし」自身は何も考えてはいないからである。
それは僕にとって非常に都合のいい考え方であった。
また、それを「シュルレアル=超現実」と言ってしまう姿勢も気に入った。
「主観」を通してものを見ることより、
「主観」から逃れ、「客観」的にものを見ることの方が
より「現実」である、ということか。

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