デジャノフ&ヒガー
昔、デジャノフ&ヒガーという二人組に
ちょっと感動したことがあった。
それは彼らの「労働の成果を陳列する」というシリーズで
バイトで稼いだ金で買ったお気に入りの品を
ただ展示スペースに陳列していくというものだった。
大学院まで出たものの全くこれといった当てのなかったふたりは
昼はバイトして夜家に帰って制作に入るという生活に
苦痛を感じ、
それならバイトでせっかく稼いだ金なんだから、
好きなものを買って、
それを展示してしまえ、という考えに至ったのだった。
人生の苦境を逆転の発想で全く違う方向へ変えてしまう、
彼らの「なすがまま」感に僕は感動してしまった。
しかし、そこにはちょっとした裏の意味があって、
彼らは旧東欧圏出身で
「自分で稼いだお金で自由に好きなものを買う」
ということが決して普通のことではなかったという
背景があった。
それはそうと、彼らが売れれば売れるほど
今度は美術館やギャラリーの方から
彼らに仕事を紹介してくるようになってきた。
「仕事を紹介しますから、
これで好きなものを買って展示してください。」と。
でも、それはいくらなんでもおかしいんじゃないの、
ということになり、
彼らは紹介された仕事をたくさんの失業者たちに
斡旋するようになった。
アートというシステムを
社会にとってより良いことに変換させたのである。
なんて、しなやかな発想の転換だろう。
彼らの他の作品に「ホリディ」というものがあって、
美術館から制作費を支給されて、
出品を依頼されたのだが、
彼らは展示スペースに「休暇中」という看板だけ設置して、
支給された制作費で旅行に行ってしまった。
笑うしかないですね。

0 Comments:
Post a Comment
<< Home